2回目 04/20(金) 04/21(土) 情報教育の体系(小・中・高)の連携

改定された学習指導要領からみた教育全体の変化と情報教育の位置づけ


1.改訂のポイント −今回の改訂の基本的なねらい−
平成10年7月の教育課程審議会答申を受けて,完全学校週5日制の下で,「ゆとり」の中で「特色ある教育」を展開し,幼児児童生徒に自ら学び自ら考える[生きる力]を育成。特に,次の点を重視。

(1) 豊かな人間性や社会性,国際社会に生きる日本人としての自覚を育成すること。
・ 幼稚園や小学校低学年では,基本的な生活習慣や善悪の判断などの指導を徹底。 また,ボランティア活動の重視。
・ 小学校では人物・文化遺産中心の歴史学習の徹底,中学校では歴史の大きな流れをつかむことを重視する歴史学習に改善。我が国の国土や歴史に対する理解と愛情,国際協調の精神など国際社会に主体的に生きる日本人としての資質の育成を重視。
・ 中学校及び高等学校外国語科の必修化と聞く話す教育の重視 など。

(2) 自ら学び,自ら考える力を育成すること。
・ 各教科及び「総合的な学習の時間」で体験的な学習,問題解決的な学習の充実。
・ 各教科等で知的好奇心や探究心,論理的な思考力や表現力の育成を重視。
コンピュータ等の情報手段の活用を一層推進。中学校技術・家庭科で情報に関する内容を必修化,高等学校で教科「情報」を必修化 など

(3) ゆとりのある教育活動を展開する中で,基礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育を充実すること。
・ 年間授業時数は,現行より週当たり2単位時間削減。
・ 教育内容を授業時数の縮減以上に厳選し,ゆとりの中で基礎的・基本的な内容を繰り返し学習し,その確実な定着を図る。
・ 中・高等学校における選択学習の幅を一層拡大。
・ 高等学校では,卒業に必要な修得総単位数を80単位から74単位に縮減,必修教科・科目の最低合計単位数を38単位(普通科)から31単位に縮減 など。

(4) 各学校が創意工夫を生かし特色ある教育,特色ある学校づくりを進めること。
・ 「総合的な学習の時間」を創設し,各学校が創意工夫を生かした教育活動を展開。
・ 各学校が創意工夫を生かした時間割編成ができるよう,授業の1単位時間や授業時数の運用の弾力化。
・ 教科の特質に応じ目標や内容を複数学年まとめるなど基準の大綱化。
高等学校における学校設定教科・科目の導入 など


2.小学校の学習指導要領
(1)総合的な学習の時間の取扱い
・ 総合的な学習の時間においては,各学校は,地域や学校,児童の実態等に応じて,横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものとする。
・ 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。 (1) 自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。 (2) 学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。
・ 各学校においては,2に示すねらいを踏まえ,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題,児童の興味・関心に基づく課題,地域や学校の特色に応じた課題などについて,学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。

(2) 総合的な学習の時間の学習活動
・自然体験やボランティア活動などの社会体験,観察・実験,見学や調査,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極的に取り入れること。
グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制,地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫すること。
国際理解に関する学習の一環としての外国語会話等を行うときは,学校の実態等に応じ,児童が外国語に触れたり,外国の生活や文化などに慣れ親しんだりするなど小学校段階にふさわしい体験的な学習が行われるようにすること。

(3)指導上の考慮点
・ 各教科等の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,適切に活用する学習活動を充実するとともに,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
・ 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,児童の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
・開かれた学校づくりを進めるため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また,小学校間や幼稚園,中学校,盲学校,聾学校及び養護学校などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒や高齢者などとの交流の機会を設けること。


3.中学校の学習指導要領
(1)総合的な学習の時間の取扱い
・ 総合的な学習の時間においては,各学校は,地域や学校,児童の実態等に応じて,横断的・総合的な学習や児童の興味
・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものとする。
・ 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。 (1) 自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。 (2) 学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の生き方を考えることができるようにすること。
・ 各学校においては,2に示すねらいを踏まえ,例えば国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題,児童の興味・関心に基づく課題,地域や学校の特色に応じた課題などについて,学校の実態に応じた学習活動を行うものとする。

(2) 総合的な学習の時間の学習活動
・ 自然体験やボランティア活動などの社会体験,観察・実験,見学や調査,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極的に取り入れること。
グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制,地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫すること。
国際理解に関する学習の一環としての外国語会話等を行うときは,学校の実態等に応じ,児童が外国語に触れたり,外国の生活や文化などに慣れ親しんだりするなど小学校段階にふさわしい体験的な学習が行われるようにすること。

(3)指導上の考慮点
・ 各教科等の指導に当たっては,児童がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段に慣れ親しみ,適切に活用する学習活動を充実するとともに,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
・ 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,児童の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
・開かれた学校づくりを進めるため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また,小学校間や幼稚園,中学校,盲学校,聾学校及び養護学校などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒や高齢者などとの交流の機会を設けること。

(4)技術・家庭

〔技術分野〕 A 技術とものづくり  B 情報とコンピュータ
〔家庭分野〕 A 生活の自立と衣食住  B 家族と家庭生活

B 情報とコンピュータの内容
(1) 生活や産業の中で情報手段の果たしている役割について,次の事項を指導する。
ア 情報手段の特徴や生活とコンピュータとのかかわりについて知ること。
イ 情報化が社会や生活に及ぼす影響を知り,情報モラルの必要性について考えること。
(2) コンピュータの基本的な構成と機能及び操作について,次の事項を指導する。
ア コンピュータの基本的な構成と機能を知り,操作ができること。
イ ソフトウェアの機能を知ること。
(3) コンピュータの利用について,次の事項を指導する。
ア コンピュータの利用形態を知ること。
イ ソフトウェアを用いて,基本的な情報の処理ができること。
(4) 情報通信ネットワークについて,次の事項を指導する。
ア 情報の伝達方法の特徴と利用方法を知ること。
イ 情報を収集,判断,処理し,発信ができること。
(5) コンピュータを利用したマルチメディアの活用について,次の事項を指導する。
ア マルチメディアの特徴と利用方法を知ること。
イ ソフトウェアを選択して,表現や発信ができること。
(6) プログラムと計測・制御について,次の事項を指導する。
ア プログラムの機能を知り,簡単なプログラムの作成ができること。
イ コンピュータを用いて,簡単な計測・制御ができること。

内容の取扱い
・ (1)のアについては,身近な事例を通して情報手段の発展についても簡単に扱うこと。(1)のイについては,インターネット等の例を通して,個人情報や著作権の保護及び発信した情報に対する責任について扱うこと。
・ (3)のイについては,生徒の実態を考慮し文書処理,データベース処理,表計算処理,図形処理等の中から選択して取り上げること。
・(4)については,コンピュータを利用したネットワークについて扱うこと。
・ (6)のイについては,インタフェースの仕組み等に深入りしないこと。


4.高等学校の学習指導要領

(1)総合的な学習の時間
1 総合的な学習の時間においては,各学校は,地域や学校,生徒の実態等に応じて,横断的・総合的な学習や生徒の興味・関心等に基づく学習など創意工夫を生かした教育活動を行うものとする。

2 総合的な学習の時間においては,次のようなねらいをもって指導を行うものとする。
(1) 自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。
(2) 学び方やものの考え方を身に付け,問題の解決や探究活動に主体的,創造的に取り組む態度を育て,自己の在り方生き方を考えることができるようにすること。
3 各学校においては,上記2に示すねらいを踏まえ,地域や学校の特色,生徒の特性等に応じ,例えば,次のような学習活動などを行うものとする。
国際理解,情報,環境,福祉・健康などの横断的・総合的な課題についての学習活動
生徒が興味・関心,進路等に応じて設定した課題について,知識や技能の深化,総合化を図る学習活動
ウ 自己の在り方生き方や進路について考察する学習活動
4 各学校における総合的な学習の時間の名称については,各学校において適切に定めるものとする。
5 総合的な学習の時間の学習活動を行うに当たっては,次の事項に配慮するものとする。
(1) 自然体験やボランティア活動,就業体験などの社会体験,観察・実験・実習,調査・研究,発表や討論,ものづくりや生産活動など体験的な学習,問題解決的な学習を積極的に取り入れること。
(2) グループ学習や個人研究などの多様な学習形態,地域の人々の協力も得つつ全教師が一体となって指導に当たるなどの指導体制,地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫すること。
(3) 総合学科においては,総合的な学習の時間における学習活動として,原則として上記3のイに示す活動を含むこと。
6 職業教育を主とする学科においては,総合的な学習の時間における学習活動により,農業,工業,商業,水産,家庭若しくは情報の各教科に属する「課題研究」,「看護臨床実習」又は「社会福祉演習」(以下この項において「課題研究等」という。)の履修と同様の成果が期待できる場合においては,総合的な学習の時間における学習活動をもって課題研究等の履修の一部又は全部に替えることができる。また,課題研究等の履修により,総合的な学習の時間における学習活動と同様の成果が期待できる場合においては,課題研究等の履修をもって総合的な学習の時間における学習活動の一部又は全部に替えることができる。

(3)指導上の考慮点
・ 各教科・科目等の指導に当たっては,生徒がコンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を積極的に活用できるようにするための学習活動の充実に努めるとともに,視聴覚教材や教育機器などの教材・教具の適切な活用を図ること。
・ 学校図書館を計画的に利用しその機能の活用を図り,生徒の主体的,意欲的な学習活動や読書活動を充実すること。
・ 開かれた学校づくりを進めるため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること。また,高等学校間や中学校,盲学校,聾学校及び養護学校などとの間の連携や交流を図るとともに,障害のある幼児児童生徒や高齢者などとの交流の機会を設けること。

(4)情報
情報及び情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して,情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ,情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。
・情報A
コンピュータや情報通信ネットワークなどの活用を通して,情報を適切に収集・処理・発信するための基礎的な知識と技能を習得させるとともに,情報を主体的に活用しようとする態度を育てる。
・情報B
コンピュータにおける情報の表し方や処理の仕組み,情報社会を支える情報技術の役割や影響を理解させ,問題解決においてコンピュータを効果的に活用するための科学的な考え方や方法を習得させる
・情報C
情報のディジタル化や情報通信ネットワークの特性を理解させ,表現やコミュニケーションにおいてコンピュータなどを効果的に活用する能力を養うとともに,情報化の進展が社会に及ぼす影響を理解させ,情報社会に参加する上での望ましい態度を育てる。