5回目 05/18(金) 05/19(土) | 情報活用の実戦力(1) |
問題解決と授業・実習のパターン
1.状態・手段が意識されないことと現状では不明の違い
(1)同じことをしているようで、全く異なった問題解決
現在の状態 | 手段 | よりよい状態 | ||||
明確度 | 具体性 | 明確度 | 具体性 | 明確度 | 具体性 | |
例1a | ○ | △ | ○ | △ | ○ | ○ |
例2b | × | × | ○ | △ | ○ | △ |
・例1a インターネットで姉妹学級を探すために、他の学校の人に興味を持ってもらう学級のホームページを作ろう。
ホームページを作ることの目的がはっきりしている、そこから手段やよりよい状態も明らかになる。
・例2b 学級のホームページを作ろう
通常はホームページを作ること自体が学習の中心になってしまう。
(2)意識されないことと現状で不明な違い
現在の状態 | 手段 | よりよい状態 | ||||
明確度 | 具体性 | 明確度 | 具体性 | 明確度 | 具体性 | |
例2a | × | × | ○ | △ | △ | × |
例2b | × | × | ○ | △ | × | × |
・例2a 世界中の子供がきちんと教育がうけられるようにするにはどうしたらいいのか
あくまで、意識されるかどうかは不明であるが、各国の教育状況を調べることが目的でなく、教育がうけせれているか、発展するば何故そうなるのか、どうすればよいか考える機会がある。この場合、現在の状況やよりよい状態等の詳細が現在は不明であるが、学習の中にそれを明らかにしていく内容が含まれてる。
・例2b 世界の子供の教育状況を調べよう。
単に調査に終わって、その問題の根本や解決策等にいきつかない場合もある。
2.授業・実習の基本的な考え方
・「情報」の教科は実習が特色であるが、これは必ずしも、パソコンやインターネットを使用することを意味しているのではないと思われる。また、単に何か作業するということではなく、「情報」の教科の根底にある「生きる力」を常に意識した実習である必要があると思われる。
・だからといって、授業すべてが生徒に難しい問題解決の場を提供してそれを解決させるものでもない。適度に実習内容や難しい実習内容などのレベルがある。
3.授業・実習の課題のパターンについての提案
必ずしも問題解決場面と授業・実習とは一致しない場面があるが、下記の表は強引に関係づけたものである。またパターン名も明確に広くみとめられているものではない。あくまで、実習のパターンを考える時に便利・参考になるために作った表である。
パータン名 | 概要 | 現在の状態 | 手段 | よりよい状態 | |||
明確度 | 具体性 | 明確度 | 具体性 | 明確度 | 具体性 | ||
演習型 | 主にその技能を修得したり、知識を獲得することを目的とする。手段もあるど明確に指示して、その習得、確認をする。 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
実験型 | 理科等の実験と同様に、前提・手段等を提示し、その結果を検証・確認することにおいて、既存の知識等を理解、習得する。 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
ケース・スタディ型 | 情報の活用の仕方を学習するために、教師の方で予め問題解決環境の準備を行い、その中で生徒がこの能力を学んでいく。いきなり生徒が一から遣り始めるのは難しいという判断から。 | ○ | △ | ○ | △ | ○ | △ |
実習型 | 問題解決の一連の作業について、基本的考え方、やり方は示すが、多くは生徒が実際に考え、作業して進めていく。 | △ | △ | △ | △ | △ | △ |
プロジェクト型 | 一般の企業で行われているように、ある程度初期状態と最終的な概要はわかっていて、それをいかに実現していくか学習・作業していく。 | △ | × | × | × | △ | × |
テーマ型 | プロジェクト型とは反対に初期の問題状態等が提示されているが、その手段や望ましい状態などを生徒が学習・作業していく。逆に、理想的なものについては、最終的な望ましい状態のみ提示される場合がある。 | ×○ | ×× | ×× | ×× | ○× | ×× |
トピック型 | 次の論文、自由型までにはいかないが、ある大きな題材の中からテーマ、問題を考えて生徒が学習・作業していく。 | △ | × | × | × | × | × |
論文、自由研究方 | 問題の設定から解決まで、すべて生徒が学習・作業していく。 | × | × | × | × | × | × |
補足:今回の説明・論議は単にテーマのパターンであり、それをどのように実習させるかは含んでいない。例えば個人調査で行う、相互的な共同学習、プロジェクト体制等の取り方は後期に説明があると思う。特に上記のプロジェクト型とプロジェクト学習では意味が違う。
パータン名 | 簡単なイメージその1(高校生にとっての携帯電話(料金)をテーマにして) |
演習型 | ・インターネットで安い携帯電話を探す場合はどのような条件を入れたらよいか? |
実験型 | ・YahooとGooを使って携帯電話の情報を調べるとどのような違いがあるだろう。 |
ケース・スタディ型 | ・ここにある高校生10人の携帯の契約会社、使用時間、月の料金のデータがある。この中で適切な契約をしていないのは誰で、どう改善のアドバイスをするか考えよう。 |
実習型 | ・携帯電話の通話量と料金の表をつくり、月あたりの通話時間に対してもっとも適切な電話会社を選択してみよう。 |
プロジェクト型 | ・自分自身の携帯電話の利用方法を分析して、サービス内容や初期購入価格、通話料金等を考慮して最も適切な電話会社は何か決定してみよう。 |
テーマ型 | ・高校生の携帯電話の通話料金が非常にかかってきているが、どうしたらいいか考えてみよう。 |
トピック型 | ・高校生の携帯電話について考えましょう。 |
論文、自由研究方 | ・携帯電話について自由研究を実施しなさい。 |
パータン名 | 簡単なイメージその2(修学旅行をテーマにして) |
演習型 | ・京都の寺院の情報を探す場合はどのような条件を入れたらよいか? |
実験型 | ・法隆寺はどのような分野に情報があるか調べてみよう。 |
ケース・スタディ型 | ・県内の高校の去年、修学旅行先と、本校の生徒の希望のアンケート結果があります。これから、最も適すると思われる修学旅行先を考えましょう。 |
実習型 | ・自由時間についての行動予定表を作成しなさい。 |
プロジェクト型 | ・修学旅行の行き先をどこにするか、生徒の希望、費用、移動時間時間を考慮して決定しなさい。 |
テーマ型 | ・次年度の生徒が来年修学旅行を行う場合に参考になるとようなホームページを作成しなさい。 |
トピック型 | ・高校生の修学旅行についての意識について考えてみましょう。 |
論文、自由研究方 | ・修学旅行を現地調査として位置づける自由研究を実施しないさい。 |