9回目 06/15(金) 06/16(土) 情報の科学的 な理解(2)

プロジェクトと構造化設計


[プロジェクト]
専門教科「情報」の実習や普通科「情報」の大き目の実習・製作活動ではプロジェクト的な感覚が必要
1.概要
a.プロジェクトの定義 −>特定の目的、目標、ねらいを持ち、特定のテーマを解決するために期限付きで実施される活動
b.プロジェクトの管理サイクル −>PLAN−>DO−>CHECK−>ACTION
c.プロジェクトの課題・問題 課題を解決することが、プロジェクトを成功させるという見方もある。
[課題の分類]
・前向き課題と後ろ向き課題
・長期的課題と短期的課題
・単独課題と複合課題
・組織的な課題と個人的な課題
・ジレンマ的課題
d.プロジェクト管理の管理対象
・仕様
・品質
・工程
・ドキュメント
・体制
・設備
e.プロジェクト管理に対するこころがまえ
・形式と内容 − 形式はあくまで、内容をよくするためのもの。
・理論と実際 − じっさいにどうするかが重要。理論はその補助。現場、現実主義 ・無から有を生むことの困難さと気迫。困難にあたって逃げることを考えない。
・積極的に疑いを持つ"
・まず、頭を整理する。
・先を読む。当初から修羅場にいる心構え−起きてからでは遅い
・プロジェクトのターゲット、個々の場面でのターゲットの明確化
・素直−何事にもとらわれず、物事の真実を見る目。嘘はつかない。
・結局は一日一日の積み上げ。毎日の成功体験。
・人間に対する飽くなき関心を
・論議は理を尽くして徹底して(但し、人格を傷つけない)。技術的論議で上下の関係はない。
・自己の実力の評価
・時間厳守
・生む時が肝心。開発思想、設計のよさ。ノウハウよりコンセブト
・設計段階ではより多くの人の知恵を。
・マジーナブル(安全余裕)のある設計。無理は禁物。
・主要な問題と副次的な問題との区別
・何がひらめくか、どこに目をつけるかが鍵
・準備、段取りを念入りに

c.工程管理の定義 [計画]
(1)プロジェクトの開始から終了までの全期間に対して、目標とするシステムが作り上げられる姿をイメージし、
(2)それを現実の時間の上に投影し、
(3)それを実現するための作業を明確にし、 [実施]
(4)プロジェクトの各段階におけるねシステム、イメージ、時間、作業内容を実施し [フォロー]
(5)現実が投影した通りに推移しているかわ把握し、判断し
(6)その通り推移していなければ、対策を講じること。
3.工程管理の技法
3.1 工程の計画
a.計画の要素 開始から終了までの明確なイメージ
・各工程の詳細な作業内容を細分化する。
・細分化して作業内容の流れ、つながりを明確化する。
・各作業内容について必要なリソース・時間を見積もる。

[ 構造化手法を取り入れた文章の作成]
大きなプログラム・システムを作る課程を論文等を書く課程に喩えて説明しています。
1.構造化手法 ソフトウェアの開発技法 − チャンクの考え方:所詮人間の理解できる範囲は7±2
2.文書の構成 例として日経PB系の雑誌
a.文章の最小単位 段落:17文字×5−15行:
これは編集者からの指示。 経験値として、解りやすい文書単位か? プログラムでいうモジュール、最小機能単位。<−ある特定目的を持って動作する最小単位。
b.文書の階層化
最下層 段落(平均170文字)
最下層+1
  小見出し = 5−9段落(平均170文字×7段落=1190文字) 原稿用紙3枚相当
最下層+2
  大見出し = 5−9小見出し(平均1190文字×7小見出し=8330文字)
  単独記事 原稿用紙20枚相当
 最下層+3
  特集 = 3−5大見出し(8330文字×4大見出し = 33320文字)
  短期連載 原稿用紙80枚相当
3.実際の文書の設計と製作
  最下層+3の文章を設計・作成する場合
(1)最下層+3−最下層+2レベル
  ・各大見出しの内容についてサマリーを作成
  ↓ 全体構成の整合性についてレビュー ・各大見出し間の整合性について修正
(2)最下層+3−最下層+2−最下層レベル
  ・実際に使用する図表を作成 ・各大見出しに対する小見出しの作成
   ・各小見出しに対する段落のサマリーを作成。=各段落の内容を的確に表す170×2−3行を作成
 [注意]各段落のサマリーは、たとえばCD−Rについて書く場合、「CD−Rの製品動向について書く」というサマリーは不可。この場合、「CD−Rの低価格に伴い、外部記録としての購入が高まっている」等とあくまで具体的な内容のサマリーで記述。
 ↓ 図表の妥当性、各段落の内容、整合性についてレビュー
   ・図表、各段落の流れ内容について修正。
(3)段落
  上記段落のサマリーを17文字×5−15行にふくらますして作成する。
 ↓ 各個別段落について、全体の流れの再確認のレビュー ・全体修正。
4.おまけ ・読み手の知っていることをベースとした文書。
  ・読み手が常に具体的なイメージを構成できる内容。
  ・図表が主体。