1.マルチメディア・データ会議(TV会議)の基礎
(9)複数の場所と同時に接続

 いままではっきり説明しませんでしたが、映像・音声の通信は基本的に一対一です。複数の場所で同時に通信を行う場合は多地点制御装置(MCUエムシ−ユー:Multi Point Control Unit)という装置を使います。MCU自体の機能もITU-Tで決められています。

 H.320端末で複数の映像・通信の会議を行う場合は、H.320用のMCUを使います。各H.320はそれぞれMCUにISDN経由で繋ぐことになります。そのためには、MCUには接続する端末の数だけISDNの回線が必要になります。また、MCU自体も高価なため、MCU接続のサービスを提供する会社から会議する時だけ借りることもできます。

 図1.9.2にはH.320端末で映像・音声とデータの多地点会議をする状態を示しました。この場合T.120の多地点機能とH.320の多地点機能を内蔵したMCUを使用します。この形態のニーズが少なく、MCU自体の製品も少なく、サービスを提供している会社もほとんどありません。

 図1.9.4にインターネットやLAN上でH.323端末を使って映像・音声とデータの多地点会議をする状態を示しました。H.323用のMCUにはH.323とT.120の多地点会議の両方の機能を内蔵しているものも多いです。また、MCUも一つのIPアドレスを持つだけで複数のH.323端末から接続することができます。このMCUには専用のハードウェアの製品もありますが、パソコンの高性能化にともないWindowsNTServerやUNIXにインストールして使うソフトとしての製品もあります。現在はMeetingPointと名前が変わりましたが、CUSeeMeのリフレクターはこのMCUに該当していました。

 図1.9.4にデータ会議のみ多地点で行う状態を示しました。T.120の規格自体に多地点会議のあるため、たとえばNetMeeting等のT.120機能自体に多地点接続の機能が入っています。そのため、特に専用のMCUを使わなくても、パソコンとNetMeetingだけで複数のデータ会議が可能になります。

MeetingPointの画面分割例

 多地点会議の場合、複数の人が映像や音声がありますがどうなるのでしょうか。一般に音声は合成され流れる装置と発言している人の声だけ聞こえる装置があります。また、映像については、発言している人の映像が映るのが機能的機能ですが、議長がいてどの映像や音声を流すか制御できる装置もあります。また、上手のように複数の映像を合成して表示する装置もあります。