インターネット入門: TCP/IPの二つの意味

 ここでは、TCP/IPがどのようなものであるか、もう少し詳しくみていきましょう

 図3−1にはもう少し詳しいTCP/IPの内容を示しました。皆さんもインターネットを使ってホームページを見たり、電子メールを利用したりしていると思いますが、これらのやりとりも図に示したように、TCP/IPのプロトコルとして定義されています。これは、アメリカで現在のインターネットのもとになるものが使われ始めた時、その通信の中核となるTCP/IPの本体と、実際に人間がメールのやりとりをしたりファイルの転送を行う機能を決めたことにあります。
 このように、TCP/IPは広い意味でインターネットでいろいろなことをするための複数の約束ごとを決めたプロトコルです。その意味でこれらのことをTCP/IPプロトコル群やTCP/IPプロトコルスィートと呼ぶことがあります。一方、TCP/IPは図の黄色の部分で示した、実際の通信の部分のプロトコルにつけられた名前を示しています。TCP/IPといった場合、この部分だけを示すことがあります。例えば、パソコンをインターネットに繋ぐためのTCP/IPの設定といった場合は、この狭い範囲のTCP/IP本体を示しています。
 個々の機能については第2章で細かく説明しますが、良く使うものとして次のようなものがあります。
WWW(ダブリュ・ダブリュ・ダブリュ:WorldWideWeb:意味は世界中に広がった蜘蛛の巣)
 ホームページを見るためのプロトコルです。プロトコルの名前はHTTP(エイチ・ティー・ティー・ピー)です。
・電子メール
 コンピュータ・パソコン間で手紙をやりとりするためのプロトコルです。プロトコルの名前はSMTP(エス・エム・ティー・ピー)です。
・ファイル転送
 コンピュータ・パソコン間でファイルを送るためのプロトコルです。プロトコルの名前はFTP(エフ・ティー・ピー)です。

 補足になりますが、コンピュータ同士を繋ぐことをネットワークといい、この時使われるプロトコルはTCP/IP以外にいろいろあり、IBMやSUN等の会社も独自のプロトコルを作ってきました。ただ、会社等の特定のコンピュータがやりとりする場合は、独自のプロトコルでも問題ありませんが、インターネットのように不特定多数のコンピュータが接続される場合、もともとインターネットといっしょに作られてきたTCP/IPが共通のプロトコルとして使われるようになりました。
 

 図1.3−2にはTCP/IPが階層になっている利点と役割を示しました。実際メールを送る場合、その内容はいったTCP/IPという入れ物(ここではコンテナ)にいったん入れます。そして相手に送る場合は、そのコンテナをネットワークインターフェース(ここではトラック)に乗せて相手に送ります。現実社会でも、コンテナはトラック、鉄道、船、飛行機等にいろいろ積み替えられて運びます。TCP/IPの世界でも実際に相手に届くまでは、ことなったネットワークインターフェースに載せかえられ届きます。このようにきちんと階層になっていると、次々載せかえる場合、コンテナだけを取り出して運べるという利点があります。