インターネットサーバー入門: 名前でインターネットを使う

  なじみが無いかもしれませんが、まず一番重要なインターネットの名前について考えてみます。

 いままで、インターネットの世界ではIPアドレスをもとにして相手と通信すると説明してきました。でも多くの人がIPアドレスを意識せずにインターネットを使っていると思います。その例を図2.2-1に示します。例えば、文部省のホームページを見る場合は次のようなURL(ユー・アール・エル:Uniform Resource Locator:意味としてはリソース(資源)の位置を決めるもの)を指定します。
 文部省ホームページ http://www.monbu.go.jp
 実は図に示したように、文部省のWebサーバのIPアドレスは202.244.24.3です。そこで次のように指定しても文部省のホームページにアクセスすることもできます。(あなたが、これを見ている時に文部省のIPアドレスが変更されていなければの話ですが)
 文部省ホームページ http://202.244.24.3
 これは、どうゆうことなのでしょう。実はwww.monbu.go.jpでアクセスした時も、パソコン内部では202.244.24.3というIPアドレスでアクセスしています。これは人間にとって、202.244.24.3という数字が文部省のホームページを表すことがなかなか覚えられないということで、実はこのような名前を使ってインターネットが使えるしくみができています。これは携帯電話を使っている人は日常利用していることですが、あらかじめ人の名前と、その人の電話番号を登録しておくと、実際電話をかける時には、人の名前を指定するだけで携帯電話の方で登録している電話番号にかけてくれるようなものです。

 では、どのような仕組みでこの名前とIPアドレスを対応づけているのでしょうか。図2.2-2aには携帯電話と同じように、個々のパソコンでこの対応を持った場合を示しました。携帯電話だと数十件の登録ですみますが、インターネットの世界のサーバの数は膨大で、まず登録することは不可能です。また、どっからか登録情報をもらってくることを考えても、世界中で毎日かなりのサーバが新しく作られているため、すぐに情報が古くなってしまい、このような方法は実用的ではありません(実際は、ここで説明したように名前とIPアドレスを対応させる機能はありますが、ごく限られた用途でしか使用されません)。

 図2.2-2bにはインターネットで実際に、この名前とIPアドレスの対応を行う仕組みを示しました。この名前からIPアドレスの変換を行う機能をDNS(ディー・エヌ・エス:Domain Name System:意味としてはドメインの名前のシステム)があり、このサービスを提供するものをDNSサーバと呼んでいます。図に示すように実際名前を使ってアクセスする場合は、このDNSサーバにその名前のIPアドレスがいくつであるか問い合わせします。そしてDNSサーバから戻ってきたIPアドレスをもとに、実際のアクセスが行われます。
 パソコンでインターネットに接続する場合、一番はじめにTCP/IPの設定をしますが、この時、どのDNSサーバを使用するか設定します。これはDNSを使用しないと電子メールやWebのアクセスで名前が使えないからです。また、この時はDNSサーバの指定は直接IPアドレスで行います。ちょっと考えるとわかると思いますが、DNSサーバを使わないと名前が使えないので、DNSサーバを名前で指定しても、どこにあるかわからないからです。