ここでは、インターネットの理論的なしくみをみてきました。これから実際に使う場合の機材や接続方法など少し詳しく見ていきます。
現在、一般の多くの人がインターネットの利用は、普通の電話回線を使用してプロバイダにダイアルアップで接続することだと思います。図3.1-1に示しましたが、この時MODEM(モデム)を電話回線とパソコンの間に入れて使用します。よくFAXを使うとピィヒョロロー、ジー・ジー等の音が聞こえることがありますが、モデムはコンピュータの信号をこのような音に変換して電話回線上で通信します。図ではモデムが別の機械として描かれていますが、多くのノートパソコンやパソコンではこのモデムを本体内に内蔵していることも多いでしょう。
図のAさんの家では電話をはずしてモデムをつないでいます。普通はBさんの家のようにモデムに電話をつなぐ口があるため、そこに電話をつなぎます。この場合、電話を使っているときはパソコンでインターネットが使えませんし、パソコンでインターネットに接続しているときは、電話が使えなく、外から電話がかかってきても話し中になります。
図3.1-2には最近インターネット接続で利用している人も多いISDNを使用した例です。ISDNは普通の電話のように回線の中を音声データを流すのではなく、コンピュータが直接扱うようなデジタルデータを流します。各家庭には普通の電話線とまったく見た目が同じコネクターがあります(実際、普通の電話からISDNに契約を切り替えた場合でも、電話会社の交換機内部の設定を変えるだけで、各家庭にきている電話線の設備はまったく変更しません)。
見た目はまったく同じですが、流れている信号はまったく別なものなので、普通の電話機をつないでも話すことはできません。ISDNを使用する場合、まずDSU(ディー・エス・ユー:Degital Service Unit
:意味としてはデジタルサービスをする装置)を繋ぎます。そしてパソコンや電話をつなぐためにはTA(ティー・エイ:Terminal Adaptor:ターミナルアダプター)が必要になりますか。普通のTAには電話を接続する機能と、パソコン等を接続する機能があります
普通の電話をつなぐためにTAが必要なのは、電話が普通の音声を扱っているので、それをTA内でデジタルデータにして通信するからです。
ではパソコンで扱っているデータはデジタルなのに何でTAとかDSUが必要なのでしょうか。簡単に説明すると、まずTAとパソコンをつないでいるケーブルを見てください。たぶんかなり太いケーブルでつながれているはずです。こんどは、DSUと外に出ている交換機に行く線をみてください。細い2本の導線だと思います。本来ならば、パソコンから出ているような太い線で全部つながればいいんですが、費用が膨大にかかります。そこで、デジタルデータという点では同じですが、DSUはパソコンからきたデータを特殊な方法で処理し、たった細い2本の線で通信できるようにしています。同様にDSUとTAの間も独自のデジタル方法でデータのやりとりをしています。
図で示しているように、Aさんの家では、DSUとTAが別々になった製品をつかっています。Bさんの家出はTA内蔵DSU(あるいはDSU内蔵TA)を使っています。特にパソコンで通信することが目的ならば、このような内蔵型の装置を使うのも便利です。
ISDNのメリットはデータ速度が速いことにあります。具体的な場面ではホームページの表示が、普通の電話回線を使用した場合に比べてISDNを使用したほうが速くなります。もう一つの利点は一つの契約で通信回線が2本であるということです(月の契約料は普通の電話1本より高くなりますが、2本契約するよりは安くなります)。
図3.1-3には2本の回線を使った例が示してあります。a.はパソコンと電話を同時に使っている状態です。例えばパソコンをインターネットにつないでいるときでも、電話がかかってきたら通話できます。b.は電話を同時に2台使っている状態です。同じ番号で2台使うことも、それぞれ別の番号で使用することもできます。普通のTAでは電話をさせる口が二つついていることが多いので、ISDNを使用している人は、新しく電話機を購入するだけで2台の電話が使えるようになります。c.は2台のパソコンを使った状態です。この場合、DSUに新しくもう一台のTAを接続する必要があります。(この場合プロバイダから見ると別の2台からつながることになるので、二人分の契約が必要になります)
図ではDSUから二本の線が外にでていますが、物理的には一本の線でつながっているだけです。
図3.1-4には他のISDN機器の接続をしめしました。機器にはFAXなどもありますが、交流学習などで使われるテレビ会議装置やテレビ電話にもISDN装置のものがあります。例えば、ISDN用のテレビ電話だったら、DSUに直接つないで使うことができます。