インターネットの本質を考えた場合、ダイアルアップでの接続は特殊な方法であると以前説明しました。ここでは常にインターネットに接続している状態について説明していきます。
この教材の初めで、インターネットに接続するためには、すでにインターネットがきているところから線を引いてつなぐと説明しました。実際学校や家で使っているケーブルを使って線をつないでもいいのですが、法律で他人の敷地や道をはさんで電線などを個人が勝手に設置することは禁止されています。そこでNTT等の通信会社に回線を引っ張ってもらって、それを借りて使うことになります(余談ですが、JRや高速道路の会社が通信回線の仕事ができるのは、全国を網羅するつながった敷地があり、そこに独自の線を引けるからです)。
これらの通信会社から借りた通信回線を専用線といっています。通信回線はあくまで借りているものですが、機能的にはあなたの家ととなりの家の間に線をはったと同じように、つねに特定の場所とつながった一本の線として使えます。図3.8-1に専用線を使った場合の具体的に接続方法を示しました。現在販売されているルータの多くは、直接専用線につなげるものが多いようです。厳密にいうとこれらのルータの内部は図に示すようにDSU-CSU-ルータの機能を内蔵しています。DSUはISDNの接続で説明したDSUと同じ機能です。またCSU(シー・エス・ユー:Communication Service
Unit)はTAと似たような機能を提供します。もちろん、これらをすべて内蔵したルータを使わなくて、それぞれ別の機械を使ってもかまいません。いままで説明してきたダイアルアップルータの多くも実は専用回線に直接接続して使用できます。
ネットワークの構成ですが、専用線の相手側にも同様に同じ装置が必要になります。ダイアルアップの場合を説明してきた今までの図の中には、実はプロバイダー側にはDSU-TAに相当する装置が必要です。
図3.8-2にPCをルータにした場合を示しました。この場合でも、専用線とPCルータを接続するたの装置が必要になります。これは図3.8-2のようにルータを使って接続できます。特に、専用線と内部のLANを接続する機械はスイッチという製品名で販売されていることがあります。(これも言葉の問題ですが、スイッチといった場合、特殊なハブを示すことも一般的です。)
図3.8-1、図3.8-2はプロバイダーまで、専用線を引いてインターネットに接続することを前提としてして、次のような準備や費用がかからます。
・JPNICに対するIPアドレスの取得申請、ドメイン名の所得申請、DNSサーバの登録申請
・専用線の借用
・プロバイダ側及び自分のネットワークのルータ等の接続装置の用意
・プロバイダに対するインターネットへの接続費用(初期及び月額契約料)
専用線でのインターネットは手続きがなかなか大変なものです。もともと専用線はインターネットが登場する以前に企業などがコンピュータの通信や内線電話等として使っていたものですから。専用線に対して、最近ではインターネットに接続することを前提としたサービスが開始されています。商品名ではNTTのOCN(オー・シー・エヌ)やDDIのDION(ディオン)です。図3.8-3に示しましたが、インターネットに接続された回線を利用者に貸し出すことになります。費用的には、図3.8-1や2で説明したプロバイダー側の接続装置費用、専用線の費用、インターネットへの接続費用をすべて含んだものになっていて、プロバイダーへ専用線を借りて接続するより、割安になっています。また接続契約時に、各種JPNICへの申請も代行(代行費用はかかります)してくれるため、手軽にインターネットの接続ができます。ドメイン名の申請費用などは個人で申請するより、NTTに代行してもらったほうが割安になります。